ひとり 2

わたしはイケメンだ。

自分でも自分のことをかっこいいと思う。それでも、わたしにはなぜか彼女ができない。なぜだろうか、こんなにかっこいいのに。

自慢のロングヘアーをワックスで最高にかっこよくキメようと鏡の前に立った瞬間、体中を衝撃が走った。

わたしはハゲていた。

何かが違うと起きたときに直感したが、まさか自分が完全なスキンヘッドとなってしまっているとは夢にも思わなかった。わたしのロングヘアーはどこへいったのだ。

スキンヘッドとはいえわたしがかっこいいことには変わりはないが、現実を受け入れることはどうしてもできなかった。

これは何かの夢だろう。もしくは何かの間違いだ、そうに違いない。たしか巨大な彗星が今夜現れるとかいってたな、もしかしてこれは不吉なことが起こる前兆かもしれない。

そうだ、これは陰謀だ! わたしは直感した。

こういうときは落ち込んでいても仕方ない、とりあえず美味しいものを注文しよう。そして、少しお昼寝をした後にいとしのエリーゼちゃんとドライブしよう。そうすればきっと嫌なことなんて全部忘れて気分もすっきりするだろう。

やけに派手な格好をしたハゲ男は、上機嫌で電話機を手に取った。

トランクを開けた瞬間女神が現れた。

なんて美しいのだろう。わたしは一瞬で心を奪われてしまった。

あまりの出来事に何も声が出ない。女神はわたしを一目見ると、とても不思議そうな顔をしていた。なぜこんな美女がわたしのエリーゼちゃんのトランクの中に入っていたんだろう。

この女性をじっと見つめていたが、しばらくすると彼女はふっと立ち上がってトランクから飛び降りた。声をかけようとする間もなく、女神はどこかへ走り去っていった。

ああ、女神がいってしまった、そう思ったとき背後から大きな光に包まれた。なんだろう、例の彗星だろうか。ふと、自分があの女神になったような錯覚を起こした。

ハゲ男は光に吸い込まれていった。

朝起きた瞬間、性転換しようとわたしは決心した。

なぜそんなことをしようと思ったのかは自分でも分からないが、自分の心のどこかに、退屈な今の生活を一変させてみたいという気持ちがあったのかもしれない。一週間後に訪れる彗星が何らかの影響をわたしに与えたのだろう。

並みの収入ではあったが、なぜか今朝はお金なんて掃いて捨てるほどあるような気がしていた。前世はお金持ちだったのだろうか……。